第163章

井上友里子が知ったときは、「いつ、ご家族と食事でもセッティングする?」と一言添えただけだった。

いちばん大きく反応したのは、むしろ藤井優子のほうだ。

鈴木結月と高橋悠人が戻ってきたとき、玄関に着くやいなや藤井優子がまた外へ飛び出してきた。結月が車から降りるのを見た瞬間、彼女は声をひそめて言う。

「受理証明書は? 」

その弾むような表情に、結月は思わず笑ってしまった。

結月はバッグに手を入れ、結婚届受理証明書を取り出す。藤井優子は受け取るなりすぐ開いて、じっと覗き込んだ。悠人のSNSで見たとはいえ、本物を手にするのは今日が初めてなのだろう。

高橋悠人は横で急かしもしない。ただ静かに...

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