第30章

  体育館へ行かなくていいと分かった途端、生徒たちはあっという間に散っていった。売店へ走るやつ、トイレに駆け込むやつ、わずか三十分を掴んでグラウンドでバスケを始めるやつまでいる。

  休み時間が終わりかける頃になって、教室はまたじわじわと埋まっていった。

  前の扉が勢いよく開き、男子が飛び込んでくるなり叫ぶ。

 「なあ、今日なんで停電したか知ってる?」

 「何それ?」

 そいつ――田中章人は、クラスでも有名な情報通だ。八組には『男は章人、女は恵茉』なんて言い方がある。学校の噂話で、あの二人が知らないことはない、という意味だ。

 田中章人はもったいぶった顔で言った。

 「みんな...

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