第40章

ほどなくして、教室のあちこちからはっきりとした声で教科書を読み上げる声が聞こえてきた。

 ふいに隣の高橋悠人が、声を落として呼ぶ。

「満点くん」

 鈴木結月は表情ひとつ変えずに返した。

「普通に呼んで」

 満点くんって何。口を開けば、からかわれている気がする。

 ところが悠人は少し首を傾け、やけに真面目な顔で言った。

「英語で分かんないとこあったら、聞いていい?」

 その一言が、結月の思考を止めた。

 彼女は悠人を見た。学年で不動の最下位が、自分に質問してくる――そんな現実感のなさに、目の前がふっと霞む。

 結月の驚きがそのまま顔に出たのが、悠人には可愛く見えたらしい。

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