第51章

高橋悠人がゆっくりと立ち上がった。ところが廊下に出た瞬間、教室の入口に立っていた生徒指導主任が口を開く。

「鈴木結月も出てこい」

 露骨に機嫌の悪い声だった。

 8組の生徒たちの視線が、いっせいに鈴木結月へ向く。好奇心、疑念、不安、そして――面白がるような目。

 そのとき、高橋悠人の声が冷たく響いた。

「先生。殴ったのは俺だろ。関係ないやつ呼んでどうすんだよ」

 生徒指導主任は苛立ちを隠さない。

「鈴木君を呼ぶのは状況確認のためだ」

「何を確認すんだよ。状況はシンプルだ。殴った。理由? ムカついたから。初めてじゃねえし、次もムカついたら三回目がある」

「高橋悠人、お前、自分...

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