第56章

 店の入口脇がそのまま調理場になっていて、ガラスで仕切られた小さなスペースの向こうに、丸い大鍋がどんと据えられていた。鍋いっぱいに焼き餃子がぎっしり。きれいに並んだ黄色の焼き目が、見ただけでパリッと香ばしいのが分かる。

 ガラス越しでも、ふわっと匂いが届いた。

 ……正直、鈴木結月は本当にお腹が空いていた。

 朝イチで警察署に走ったのだ。大事じゃないと分かっていても、やっぱり怖いものは怖い。ようやく肩の力が抜けた途端、胃の奥がきゅうっと鳴き始めた。

 唇をぺろりと舐めた、その瞬間。

 ぐぅぅぅ……。

 自分でも引くくらい、はっきり聞こえる腹の音が鳴った。隣に立つ高橋悠人に、余裕で...

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