第60章

「じゃあさ、ひとつ買ってきてよ」西村夏輝が即答した。

 店員は岡本恵茉の名前を確認してから、ようやくその場を離れた。

 岡本恵茉は、西村夏輝がここまで張り切るとは思っていなかったらしく、気まずそうに言う。

「悪いよ。お金、使わせちゃって」

「いいって。あとでまた宿題、何回か手伝ってくれりゃ」

 西村夏輝はにやにやしながら言った。

 この前も、夏輝は宿題が終わっていないうえに来るのが遅くて、写す時間すらなかった。だから恵茉が英語のプリントを何枚か代わりに埋めてやったのだ。どうせABCDを選ぶだけの問題だし、英語の先生だって筆跡まで見比べたりしない。

 岡本恵茉の胸は、さっきからど...

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