第71章

 彼は容赦しなかった。本気で力を込めて、ぐさっと一発。西村夏輝は痛みに顔をしかめ、歯をむき出しにする。

「痛っ……マジで痛い」

 西村夏輝はこくこくとうなずき、慌てて言った。

 田村颯介も頷く。

「じゃあ本物だな。夢じゃねえ」

 西村夏輝はぽかんとして、反射的に聞き返す。

「なんで俺を刺すんだよ。自分刺せよ」

「痛いの嫌だし」

 西村夏輝はカッとなった。授業中じゃなければ、間違いなくやり返している。けれど彼は横目で高橋悠人をちらりと見て、声を落とした。

「颯介さ……悠人さんってさ、前からずっと学年ビリだったの、わざとだったってこと?」

 その瞬間、西村夏輝の胸に、かすかな...

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