第74章

岡本恵茉が振り返るなり、鈴木結月の腕をぐいっと掴んで、ひそひそ声で言った。

「結月、結月、見て。あそこ……女の子が、結月んちの高橋に抱きついてる」

 鈴木結月は反射的にそちらへ顔を向けた。

 校門のところに、白いダウンを着た女の子が立っていて、高橋悠人の腕にしがみついている。マスクで口元は隠れているし、辺りはもう薄暗い。顔はよく見えない。

 でも――この空気は、どう見ても告白だ。

 だから周囲の生徒たちは一気にざわついた。校門前で告白なんて、刺激が強すぎる。見ない理由がない。

 当の高橋悠人はというと、どこか冷めた表情のまま、眉をわずかに寄せて低く言った。

「悪い、どいて」

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