第75章

「数か月お父さんと一緒に暮らしたくらいで、あの人の悪い癖まで移ったの?」

井上友里子の声には露骨な不満が滲んでいた。

「お父さんってね、何かやらかしたとき、絶対に自分を省みないの。言い訳ばっかり」

 鈴木結月は数秒、ぽかんとした。

 ……離婚してるのに、元夫の欠点をここまで鮮明に覚えてるなんて。母も大したものだ。

 井上友里子は畳みかける。

「結月、あなたは前なら、テストで失敗してもこんなふうにはならなかったでしょう」

 結月は深く息を吸った。友里子と口論しても意味がない。母が欲しいのは正しさじゃなく、従順さだ。

 だから結月は声を落として言う。

「次は学年1位、取る」

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