第79章

 鈴木結月は自分のリュックをちらりと見下ろした。――これって、子どもっぽい?

 でも、そもそも自分は未成年だ。

 そう思った瞬間、妙に胸を張りたくなった。そうだよ。あの人、平然と女子高生を連れ回してるじゃない。

 結局、二人ともバッグは持たず、高橋悠人は財布だけをポケットに入れた。マンションを出ると、彼はさっとタクシーを止め、行き先を告げる。運転手は迷いなくアクセルを踏んだ。

 郊外だった。思った以上に遠くて、到着まで四十分もかかった。

 車が止まったとき、結月はうとうとした目を細めていて、高橋がそっと呼びかける。

 「結月、着いた」

 降りて目の前を見上げた瞬間、眠気が吹き飛...

ログインして続きを読む