第82章

観覧車のてっぺんで願いごとをすれば、神様が心の声を聞いてくれる――そんな話がある。

 彼は、もう待ちたくなかった。たった一秒だって、これ以上は。

 誰も知らない。彼がどれほどの時間を待ってきたのかを。世界中の何よりも大切な少女が、いま目の前にいるというのに。

 今すぐ大人になりたかった。堂々と、彼女の隣に立てる年齢に。

 そしてついに、彼はそっと彼女の手を引いた。指先に軽く口づけを落とし、掠れた声で言う。

「結月。今日から、俺に責任取って」

 待つのはいい。けど――お前は、もう俺のものだ。

 鈴木結月は家の前に立つと、深く息を吸い込んだ。

 高橋悠人はどうしても送っていくと言...

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