第89章

たとえ鈴木結月が時間を作って振り返っても、彼は視線がぶつかった瞬間、さっと顔を背けてしまう。

 滅多に見ない照れ方だった。まるで――結月から隠れるみたいに。

 鈴木結月は苦笑するしかない。初雪の中での告白が、まさかここまで効くなんて。結局その日の午前中、二人はほとんど言葉を交わさなかった。

 昼休みになると、岡本恵茉が結月の腕を引っ張って校外へ昼ご飯を食べに行こうとした。

 校内の売店前には、見栄えのいい箱がずらりと並び、中にはケーキが入っている。屋台みたいな臨時の売り場には生徒が群がっていて、みんな買いたそうに覗き込んでいた。

 岡本恵茉がちょっと覗いたかと思うと、戻ってきて息を...

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