第104章

「玲奈、ふと思いついたんだけど」

その日、佐藤玲奈が作業場から出てきたところに、白崎雪乃が風のように駆け込んできた。

「何を思いついたの?」佐藤玲奈は尋ねながら、コップに水を注いで飲んだ。

「研究室を借りようと思うの」白崎雪乃は衝撃的な言葉を放った。

佐藤玲奈は水が喉に詰まり、吐き出すこともできず、飲み込むこともできなかった。

「ごほっ、ごほっ!」

やっとのことで水を飲み込んだ佐藤玲奈は、苦しそうに口を開いた。

「どうして突然そんな考えが?」

「この二日間、また佐藤兄さんの家に行ったんだけど、あの家は本当に狭くて、住むのにも研究するのにも不便だと思って。それで、私の貯金を確認...

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