第349章

以前の八代倫也は、金木香織が自分に何かを仕掛けてくるなどとは微塵も思っていなかった。かつて明確な理由もないまま彼女と付き合っていた時期もあったが、八代倫也の心中では、金木香織は常に自分が強盗の手から救い出した哀れな孤児という認識のままだった。

しかし、あの宴会の夜。金木香織から歩み寄ってきた時、彼女の体から漂う甘ったるい香りに、彼は思わず吐き気を催したのだ。

その瞬間、彼はまるで糸で操られる人形に成り果てたかのようだった。身体も思考も制御を失い、頭の中は金木香織のことで埋め尽くされ、目の前の女をベッドに乱暴に押し倒して貪り食いたいという衝動に駆られた。

だが、金木香織に手を引かれて部屋...

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