第361章

オフィスは、恐ろしいほどの静寂に包まれていた。

八代倫也は顔を曇らせ、佐藤玲奈がわざわざ選び出した四つの香水の小瓶を、穴が開くほど鋭い目つきで睨みつけていた。

金木香織……!あの女、よくも……!

脳裏に、三年ほど前の些細な出来事が不意に蘇る。

銀行へ金をおろしに行った際、運悪く強盗事件に巻き込まれた。正気を失った強盗が偶然近くにいた小さな少女を人質に取ったのだが、彼が警察と協力した末に、ようやくその子を救い出すことができたのだ。

その後、少女が身寄りのない孤児だと知った八代倫也は、彼女を家に引き取り、妻と共に面倒を見ることにした。

はじめのうちは、とても大人しくて素直な子だった。...

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