第48章

佐藤玲奈は玄関に立ってからずいぶん経っていた。足がしびれそうになるほど長い間、その祖孙は彼女の存在に気づいていなかった。

「コホン」佐藤玲奈はわざと口元を押さえて軽く咳払いをした。

「玲奈、お帰り」

堀田おばあちゃんは振り返って佐藤玲奈を見ると、すぐに笑顔で近づき、親しげに彼女の手首を取った。

「今日はいい日だわ。珍しく知也も早く帰ってきたし、福田さんにあなたたちの好きな料理を作ってもらったのよ」

そう言うと、堀田おばあちゃんは佐藤玲奈をリビングに連れて座らせ、堀田知也にはきちんと玲奈の相手をするよう命じると、自分は晩御飯の様子を見るために嬉しそうに台所へ向かった。

リビングでは...

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