第533章

船上レストランは川岸に停泊していた。岸へと伸びる木橋の桟道が、船と陸を一本につないでいる。

堀田知也は船を降り、板張りの桟道に足を下ろすと、振り返りもせず岸へ向かって歩き出した。

「待って、知也!」

高橋亜里沙が中から追いかけてきて、堀田知也の袖をぎゅっとつかむ。声を潜めたまま詰め寄った。

「私を置いていくつもり?」

堀田知也はわずかに眉を寄せ、乱暴にその手を振り払うと、くるりと向き直った。何も言わず、高橋亜里沙を見据える。

夜空から落ちる冷たい月光が、堀田知也の顔を白く照らした。もともと非の打ちどころのない端正な顔立ちは、触れたら罰が当たりそうなほど遠い。けれどその表情は霜に覆...

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