第536章

オフィスの空調は暖房が効いているはずなのに、佐藤玲奈は背筋だけがぞくりと冷えた。

昔、松本おばあちゃんに言われたことが脳裏をよぎる。あの人の性格からして、呪物なんて何より嫌う。そんな呪物がZ市で野放しになるのを、黙って見ているはずがない。

――まさか……この手紙、松本おばあちゃんの字じゃない?

そう思って、玲奈は慌てて古いノートや過去の手紙を引っ張り出した。いくつ文字を照らし合わせても、癖も筆圧も、同じ。嫌というほどはっきりしている。これは間違いなく、松本おばあちゃんが自分に宛てて書いたものだ。

でも、どうして今さらこんな手紙を送ってくるのだろう。「もうすぐ帰る」って言っていたのに。...

ログインして続きを読む