第540章

佐藤玲奈は会議室で長く待たされなかった。十数分ほどして、堀田知也が社長室のドアを開ける。玲奈が社長室にいることを意外とは思っていないらしく、眉をわずかに上げただけで、薄く笑った。

「また離婚の話か」

佐藤玲奈は少し黙り、淡々と言った。

「ちゃんと話し合いたいの」

堀田知也は玲奈をじっと見つめ、しばらくしてから頷く。

「いい」

昼休みが終わるまでまだ少し時間がある。堀田知也は玲奈を連れて会社の下のカフェへ入り、人目につきにくい奥の席を選んだ。店員に一声かけ、邪魔が入らないようにしてから向かいに座る。

「で、何を言う」

冷えた声だった。

佐藤玲奈はまぶたを落とし、リュックから離...

ログインして続きを読む