第545章

佐藤玲奈が寝室から出ると、いつの間にか成田晃と木村直人の姿は消えていた。リビングはがらんとして、空気まで冷えたように感じる。

玄関のチャイムはまだ鳴り続けている。玲奈は小さく息をつき、ドアへ向かって覗き穴をのぞいた。

立っていたのは――高橋亜里沙。

胸の奥がすとんと沈む。

玲奈はゆっくりと扉を開け、感情の温度を落とした目で女を見据えた。

亜里沙は、出てきたのが玲奈だと気づいた瞬間、わずかに目を見開く。

「どいて。堀田知也に会いに来たの」

夜中に、妻のいる男を訪ねてくる。いったい何のつもりなのか。

玲奈は心の中で冷たく笑い、スマホを取り出して堀田知也に電話をかけた。

コールは...

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