第551章

佐藤玲奈と堀田知也は孤児院の見学を終えると、午後の日差しを踏みしめるようにして、隣に建つ古びた家へまっすぐ向かった。外壁には苔と蔦が絡みつき、長い時間がそのまま居座っているみたいだった。

佐藤玲奈が鍵を取り出して扉を開ける。むわっと押し寄せた腐ったような湿気と黴の匂いに、思わず眉が寄った。

「……やっぱり、最近誰かが戻ってきた形跡はあるね」

堀田知也が人気のないリビングを見回し、視線を一脚の椅子に止めた。そこだけ埃ひとつなく、つやつやと拭き上げられている。

佐藤玲奈も同じ椅子を見て、険しい顔でうなずく。

「麗花さんは嘘をついてなかった。二日前、松本おばあちゃんは本当にここに戻ってき...

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