第555章

堀田知也は何も言わず、ただ佐藤玲奈をじっと見据えていた。

二人とも口を開かない。個室の空気が、ふっと凍りつく。

やがて周囲も異変を嗅ぎ取ったのか、探るような視線が玲奈と知也のあいだを行き来し始めた。

玲奈は無視するつもりだった。けれど、その視線は熱すぎて、どうしてもやり過ごせない。

ぱちりと瞬きをして、玲奈は怯まずに見返す。淡々と問いかけた。

「どうして来たの?」

堀田知也は眉をわずかに上げ、唇の端に嘲るような弧を刻む。

「嫁を迎えに来た。それだけだ」

「……」

突き刺さる視線の集中に、玲奈は座っているだけで針のむしろだった。隣に座る男性など、信じられないという顔をしている...

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