第561章

佐藤玲奈は足を止めなかった。むしろ高橋亜里沙の声が、近くで買い物をしていた通行人の視線を引き寄せてしまう。

「ねえ、あの人……どこかで見たことない?」

「顔をそんなに隠してるって、もしかして芸能人?」

ひそひそと囁きが広がり、すでにスマホを向けて写真を撮り始める人まで出てきた。

高橋亜里沙ははっとして口元を覆い直し、足早にその場を離れる。

同じ頃、白崎雪乃は佐藤玲奈の手を引きながら、ぶつぶつと不満をこぼしていた。

「なにあの人。意味わかんないんだけど」

玲奈は思わず笑って、軽く首を振る。

「いいよ。あの子のせいで気分まで悪くするの、もったいないでしょ」

「玲奈は優しすぎるの...

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