第106章決定的な証拠

ライラ視点

セラフィナの表情が不満に曇った。「馬鹿げてるわ」

「交渉の余地はありません」私はそう言って、ドアに向かって一歩踏み出した。

次に起こったことは、全くの不意打ちだった。セラフィナが驚くべき速さで飛びかかってきたのだ。その手は、必死の形相で私の医療キットを掴もうとしていた。

「そのサンプルをよこしなさい」彼女はそう要求し、指が検体ケースに食い込んだ。

「やめて!」私は抗議した。中身を傷つけかねない物理的な争いは避けつつ、キットを離さないように必死だった。

しかし、セラフィナの必死さが、予想外の力を彼女に与えていた。彼女は私の手からキットをひったくると、すぐさまエレナの血液サ...

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