第127話ぼくの二人の娘

ライラ視点

震える指で、その優美なカードを開いた。エレナの、三歳児らしい丁寧な字が目に飛び込んできて、胸が締め付けられる。「わたしのたんじょうびパーティーにしょうたいします! あしたのひがしずむころ、おおきなテントのそばで。きてね! エレナより」。名前の横には、小さなハートが描かれていた。

エレナの誕生日。四月十五日。セラフィナがこれまでずっと祝ってきたであろう、作り物の日付ではない、本当の誕生日。

翌日の夕方、キャンプは様変わりしていた。テントの間に色とりどりの旗が飾られ、誰かが本物の風船まで手に入れてきたようだった。ケーキの香りが夜の空気と混じり合っている。

その中心に、エレナが立...

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