第13章酔っ払って

ライラ視点

「わ……わたし、気分が悪いわ」彼女の声は震えていた。「心臓が……痛むの。歩けそうにない……」

あまりにも見え透いた演技に、思わず噴き出しそうになった。けれどドリアンは、彼女にどんな呪縛をかけられているのか、盲目的に彼女を腕の中に抱き上げた。

「彼女を連れて行く」彼は私の方を見ようともせず、そう告げた。「もうすぐ、すべて解決する。拒絶の儀式で俺たちの絆は断ち切られ、お前は自由の身だ」

彼が彼女を抱いてドアに向かうと、セラフィナは彼の肩に頭を預けた。廊下に消えていく彼女から、満足げな匂いが漂ってくるのが分かった。

私は部屋の真ん中に独り佇んでいた。月明かりが床に長い影を落とし...

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