第150章議長の選定

ライラ視点

ドリアンは影の中から姿を現した。その表情には計り知れない複雑さが浮かび、琥珀色の瞳が月光を捉えていた。

「エリックには近づくな」彼は前置きなしに言った。「あいつは見た目通りの男じゃない」

私は慎重に無表情を保った。「私はエリックの従姉妹です。なぜ私にそんなことを?」

「なぜなら……」ドリアンは言葉を止めた。彼の顎が引き締まり、内面の葛藤がその顔に見て取れた。「……あいつを信用するべきではないからだ」

『何かを疑っている。でも、確信はない』と、私の中の狼が告げた。

「何の話なのかさっぱり分かりません。エリックは家族に対して、ただ親切にしてくれているだけです。彼は私をあの地...

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