第151話エレナは連れ去られた

ライラ視点

集会場のテントにいる全員の視線の重みが、物理的な力のように私にのしかかってくる。長老モリソンの発表がまだ耳に残っていた。エリックとドリアンのどちらかを選ぶ、決定的な一票を私が持っているのだと。

私の内なる狼が、心の中で落ち着きなく歩き回っていた。『この選択がすべてを決めるわ』と、彼女は囁いた。『戦争のためだけじゃない、私たちの未来のためにも』

「短い休憩を挟む」とモリソンが宣言した。「三十分の最終審議の後、決定投票を行う」

群衆は散り始め、憶測に満ちた会話がざわめきとなって広がる。ほとんど間を置かず、エリックが私の傍らに現れ、その手が優しく私の肘に触れた。

「こっちへ」と...

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