第155話オオカミの頭

ライラ視点

輸送隊の車両への積み込みが終わり、出発準備が整ったとき、敷地の向こうから聞き慣れた足音が近づいてくるのが聞こえた。その足取りはドリアン特有の、目的がはっきりとした、決意に満ちたもの。それを認識した瞬間、私の心は沈んだ。

『あいつ、私たちを止めに来るわ』と、私の内なる狼が不安げに警告した。

「嬢、お待ちを」出発地点に近づいてきたドリアンの声が、澄んだ夜の空気に響き渡った。「待ってください」

その他人行儀な呼び方に、私は平手打ちでも食らったかのような衝撃を受けた。これだけのことを一緒に乗り越えて、あれほど何度も助けてもらったというのに、彼はまだ私が本当は何者であるかを認めようと...

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