第159話邪悪な介護者

ライラ視点

晩夏になる頃、不可能と思われていたことが現実となった。数ヶ月に及ぶ凄惨な戦争の末、人狼と吸血鬼の陣営が停戦協定を結んだのだ。急使によってその知らせが届くと、数時間のうちに北部領土全体で祝宴が湧き起こった。

平和。あまりにも多くの流血の後では、その言葉は奇妙で、どこか馴染みのないものに感じられた。

ついに、私の内なる狼が安堵のため息をついた。これからは生き延びることではなく、癒やすことに専念できるかもしれない。

エリックは二日前に調印式から戻り、今日は休戦が宣言されて以来、初めての公式なデートの日だった。マダム・デラクロワの洗顔液を最後に使いながら、私は緊張と興奮が入り混じっ...

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