第18章いとこの香り

ライラ視点

ケイレブに電話をかけることが、ドリアンの決めたルールを破ることだとわかっていた。でも、私は藁にもすがる思いだった。

彼は二コールで出た。「ライラ? どうしたんだ?」

彼の声は心配に満ちていて、私の苦悩を即座に察知していた。

「わ、たし――」声が途切れた。深く息を吸い、もう一度話し始める。「助けが必要なの。学院で問題が起きて……」

私は手短に状況を説明した。

ケイレブは一瞬黙り込んだ。「今、どこにいる?」

「学院の外。追い出されたの」

「十五分でそこに着く。動かないで待ってろ」

私は木に寄りかかった。安堵と不安が入り混じる。もしドリアンがケイレブに連絡したと知ったら...

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