第23章睡眠

ライラ視点

はっと目を開けると、ドリアンが私を覗き込んでいた。窓から差し込む月光を背に、そのたくましい体が影になっている。

「それがお前の寝癖か?」ドリアンの声は低く、皮肉の色を帯びていた。「俺の服を盗むのが?」

私は彼の青いジャケットを胸にきつく抱きしめ、自分が今どんな風に見えているかに気づいた。頬に熱が集まり、私は慌てて身を起こした。柔らかな生地はまだ指に絡みついたままだ。

「ごめんなさい、私はただ――」声が震え、戸惑いが露わになる。言葉を続けられなかった。彼の香りが私の中の嵐を鎮めてくれるなんて、どう説明すればいい? 私の狼が慰めを求めてすすり泣く夜、眠りにつけるのは唯一これのお...

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