第28話喉を切り裂いて

ドリアン視点

病院の扉を手のひらで勢いよく押し開ける。蝶番がきしむほどの力だ。俺は無機質な廊下を、獲物を追うように大股で突き進んだ。

『彼女を見つけろ。今すぐにだ』

俺の中の狼が狂ったように歩き回り、意識の端を爪でひっかきながら訴える。

ナースステーションにいた看護師が顔を上げた。

「彼女はどこだ?」俺は問いただした。

看護師は震える手で廊下の突き当たりを指差した。「特別治療室です、アルファ。ですが、ご家族以外は……」

最後まで聞かずに俺は歩き出した。

特別治療室の前では、母が門番のように立ちはだかっていた。

「容体は?」

クララの表情は険しいままだ。「まだ意識が戻らないわ...

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