第3章彼は私たちをここに置き去りにした

ライラ視点

私はクリニックの待合室で凍りついたように立ち尽くし、まだあの非難の衝撃から立ち直れずにいた。

「私たちはもう行くわ」とセラフィナが言った。「ドリアンに頼まれたの。彼のカードを預かって、東棟の改修に使う家具選びを手伝ってほしいって。あなたは自分で家に帰るように、ですって」

肌の下で、私の狼が苛立ちに毛を逆立てた。『私たちをここに置いていくつもりか? こんなことがあった後に?』

「嘘よ」と、私は思わず口にした。

セラフィナは手入れの行き届いた二本の指でドリアンのブラックカードを掲げながら、笑みを深めた。「そうかしら? 本人に聞いてみたら? ……ああ、でも、彼はあなたと口を利かないんだったわね?」

彼女は私の横を颯爽と通り過ぎていく。その高価な香水の匂いに、胃がむかついた。窓の外を見ると、彼女がドリアンのSUVの助手席に滑り込むのが見えた。数分後、彼は私に一瞥もくれずにクリニックから出てくると、運転席に乗り込み、車を走り去らせた。

『置いていかれた』と、私の狼が哀れな声を上げた。『本当に、私たちをここに置いていってしまった』

ブラックウッド医師を探してみたが、彼女のオフィスのドアには鍵がかかっていた。受付係によると、ムーンシャドウ中央病院で緊急事態があったと言い、裏口からすでに出てしまったとのことだった。病院に電話してみたが、今日は彼女の勤務日ではなく、緊急連絡用の電話も応答がなかった。彼女の自宅でさえ、無関心な家政婦に門前払いされた。

昼下がりには、私はクリニックから何マイルも離れたバス停に座っていた。疲れ果て、打ちのめされていた。服は雨で湿り、髪は乱れ、乗るはずだったバスに乗り過ごしたばかりだった。

私の狼が惨めに言った。『罠の匂いはしていたのに。まんまと自分から足を踏み入れてしまった』

次のバスが到着したとき、私は気づけばまだ平らなままのお腹に手を当てていた。自分が妊娠していると信じていた、わずか二日間のうちに癖になってしまった仕草だった。その後にやってくる虚しい痛みは、ほとんど耐え難いものだった。

「ごめんなさい」私は、存在すらしなかったのに、いつの間にか心の中に確かな場所を占めていた子供に囁いた。

私の狼が、私の中で固くボールのように丸まった。『私たちはすべてを失った。母のネックレスも。メイトの信頼も。幻の子狼も。何もかも』

バスが霧深いムーンシャドウ・ベイの通りを曲がりくねって進む中、私は冷たい窓に額を押し付けた。三年半前、ベアトリス・ブラックソーンの屋敷のプライベートガーデンで、ドリアンは儀式も温かみもなく、私の指に銀の指輪をはめた。ただのビジネス上の取引。それ以上でも以下でもなかった。

他の狼たちが私のことをどう思うだろうかと尋ねたとき、彼はただこう言った。「俺だけを見ていろ。他の狼たちの意見などどうでもいい」

それなのに今、彼はセラフィナがどう思うかを深く気にしている。彼女の嘘と策略を。

雨に濡れた窓の向こうで、銀色の髪がちらりと見え、私の目が釘付けになった。私は身を乗り出し、ガラスに顔を押し付けた。高級ブティックの庇の下に、ブラックウッド医師が立っていた。彼女の特徴的な銀色のお団子頭は見間違えようもなかった。そしてその隣には、セラフィナが立っていた。彼女の金色の髪が、午後の鈍い光の中で輝いている。

「バスを停めてください!」私は叫び、すでに立ち上がっていた。

水たまりを突っ走り、歩道にたどり着いた頃には、二人はもっと人目につかない角へと移動していた。私は装飾用のプランターの陰に身を隠し、聞き耳を立てながら狼の感覚を研ぎ澄ませた。

「ああ、もう心配しないで」セラフィナはそう言うと、ブランド物のハンドバッグに手を入れた。「誰にもわかりはしないわ。それに、これであなたの良心の呵責も少しは和らぐはずよ」

セラフィナが医師の掌に何かを押し付けるのを、私は見た。月の金貨――人狼社会では最も重要な取引にのみ使われる、希少で価値のある通貨だった。

『あの医者を買収したんだ』と、私の狼が唸った。『私たちを破滅させるために、金で雇ったんだ』

ブラックウッド博士は神経質に背後を振り返り、それから急ぎ足で去って、待っていた車の中へと姿を消した。

「もう街を離れるんですか、先生?」私はささやきながら、車が交通の流れに合流していくのを見つめた。

ようやくペントハウスの自宅にたどり着いた頃には、すっかり夜になっていた。私はソファに丸くなり、医学書を広げた。

私の中で、狼が落ち着きなく歩き回っていた。『彼は来ないわ』真夜中を過ぎた頃、彼女は言った。『今頃、あの女と一緒にいるのよ』

「彼は来るわ」私は言い張った。

午前三時近くになって、鍵が錠に差し込まれる音が聞こえた。私ははっと目を覚ます。医学書はまだ膝の上に開かれたままだった。ドアの前に、ドリアンが立っていた。

「まだ起きていたのか」と彼が言った。

「今日起きたことについて話がしたいの。ブラックウッド博士と、セラフィナのことよ」

「もういい。これ以上嘘を聞く気はない」

「嘘じゃないわ!」私は声を荒らげた。「今日、二人が一緒にいるのを見たの。セラフィナが博士にお金を払っていた。金貨よ。二人は私を陥れたのよ!」

「ふざけるな! くだらない作り話で俺を騙そうとするな!」

「どうして信じてくれないの?」私の声は途切れた。「私は私たちのことを大切に思ってる。私たちが築けたかもしれない未来を」

「『私たち』など存在しない」ドリアンの声には終止符が打たれていた。「最初からな。この四年に近い取り決めは、もう十分すぎるほどだ。終わらせる時が来た」

その言葉は、まるで物理的な打撃のように私を打ちのめした。「拒絶の儀式を執り行うってこと? 今?」

「来い」彼は背を向けると、書斎に向かって歩き出した。

書斎は、机の上に置かれた一灯のデスクランプを除いて暗く、その光が長い影を落としていた。ドリアンはデスクの後ろに回り、その長身のシルエットが、雨に濡れた窓を背景に浮かび上がる。

「我々の番いの絆の試用期間は四ヶ月後に終わる」彼は感情のこもらない声で言った。「だが、完全な絆を結ぶ儀式に進むのはやめることにした」

私たちはお互いに印を刻んではいたが、完全な『番いの儀式』はまだ執り行っていなかった。伝統によれば、その儀式は、双方が満月の下に立ち、手のひらを合わせ、それぞれが爪でその掌を切り裂き、血を混ぜ合わせることで誓いの証とする。そして額を押しつけ、互いの魂の欠片を相手の中に根付かせ、融合させ、真に分かちがたい存在となる必要があった。

心臓が止まった。「それって、つまり……」

「つまり、お前を正式に拒絶するということだ」彼は続けた。「このプロセスによって我々の番いの絆は永久に断ち切られ、俺は真の運命の相手を追い求めることができるようになる」

「私を追い出すってこと?」私はささやいた。

「ブラックソーン財団はお前の学費を継続して支援する。だが、今週末までには別の住居を見つける必要がある」

私は彼のデスクから後ずさった。「嫌よ。そんなの受け入れない」

彼の目が細められ、突如として部屋が狭くなったように感じられた。空気が重くなる。紛れもないアルファの力が彼から放たれ、私の胸を押し潰すような圧力をかけてくる。

「お前に選択肢はない」と彼は言った。「お前は医者を操った。我々の絆を延長するために妊娠を偽った。我が家の名に恥をかかせた」

一つ一つの非難が、殴られたかのように体に響く。私はアルファの命令に抗いながら、デスクの縁を握りしめた。

「してない」私は喘いだ。「そんなの、どれも本当じゃない」

圧力はさらに強まり、私は膝から崩れ落ちた。私の中の狼がくぅんと鳴き、圧倒的な支配力に屈服する。こんなドリアンは見たことがない。私に対してアルファの力を最大限に使い、決して服従を強要しないという約束を破っている。

「受け入れろ」彼は命じた。「お前が同意しようとしまいと、拒絶の儀式は執り行う」

私に選択の余地がないことを悟り、涙で視界がにじんだ。彼のアルファの命令の下、私はすべてを失うのだ。家も、生活の保障も、そしてこの数年間、私が唯一の家族として知っていた存在との最後の繋がりも。

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