第35章相続人の要求

ライラ視点

ソーンウッド長老の屋敷へと向かう車内は静まり返っていた。ドリアンがムーン・シャドウ・ベイの旧市街を運転する間、私は窓の外をじっと見つめていた。試験はうまくいったけれど、この訪問への不安で胃が締め付けられるような思いだった。

「ソーンウッド長老は、同盟内で最高齢の狼の一人だ」長い沈黙を破り、ドリアンがついに口を開いた。「稀な種類の肺炎を患っていてね。医者たちはもう手の施しようがないと考えている」

私は彼の方を向いた。「肺炎、ですか?」

「ああ。だからこそ父は、君を同行させるよう強く求めたんだ」彼の琥珀色の瞳は、道路に向けられたままだった。

ドリアンはSUVを走らせ、白樺の木...

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