第38章ドリアン!助けて!

ライラ視点

闇の中から、捕食者のように半円を描いて光る目が現れた。シルバームーンの群れの狼じゃない。だが、それとは別に、私の中の狼が本能的な恐怖に後ずさる理由があった。吸血鬼の匂いだ。

群れの中で一番大きな、鼻面にいくつもの傷跡が交差する巨大な灰色の狼が一歩前に出た。その隣から、捕食者特有の流れるような優雅さで動く吸血鬼が姿を現す。

「おやおや、これはこれは」はぐれ狼が唸った。「可愛い子狼ちゃんが、水辺でたったひとりたあな」

吸血鬼は微笑み、 deadlyな牙を剥き出しにした。「ブラックソーン家の跡取りの大事な番(つがい)か。なんと……好都合なことだ」

私の中の狼が唸り、支配権を奪お...

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