第45話私の心に染まる恐怖

ライラ視点

ブルームーン・チームが勝利を確定させると、賭博エリアは祝賀の歓声に沸き上がった。月の誓いの儀式を司る古代のワーウルフの長老が杖を掲げ、群衆に即座の静寂を命じた。

「ナイトフォール・ヒーラーよ」その声には幾世紀もの重みが宿っていた。「そなたは月の女神のご加護により、勝利を手にした。ブラックソーンのアルファ継承者に対し、月の誓いの要求を述べよ」

私は震える手の中にある賭けの用紙を見下ろした。銀色のインクで書かれた署名が、網膜を焼き尽くすかのように見えた。

こめかみの奥で痛みが爆ぜ、指から用紙が滑り落ちる。呼吸が浅く、速くなっていく。群衆の歓声は、岩に打ちつける波のような、遠い轟...

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