第90章 直接通報しよう

村田基治に、まともな案件の実績なんてあるはずがなかった。

大半の時間は飲み食いして遊び回るか、役職を盾に金を抜くか――それだけだ。

「どうしたの。出せないの?」

鳳咲夜の声が、すっと冷える。

「じゃあ私が思い出させてあげる。直近半年で、あなたが会社に出勤打刻した日数は三十日未満。残りは“出張”扱いで、行き先は一流のリゾート地ばかり。さっき出たモルディブ以外の出張も、社内には案件登録も予算申請もない。村田副部長、説明して。あなたはその出張で、どのプロジェクトの、どの顧客のために身を削ってたの?」

鳳咲夜の問いは一つ一つが刃だった。村田基治が丹念に塗り重ねた嘘を、薄皮から剥がしていく。...

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