第282章 お願いだから諦めて

上村千佳は、この瞬間、萩原寧々の姿に見た。憎しみが、いかに人を壊していくのかを。

かつてはあんなにも陽だまりみたいに笑う子だったのに。今は生気がすっかり抜け落ちて、残っているのは憎悪だけ――それだけが、彼女を生かしている。

上村千佳は、どうしようもなく後悔した。

喉が詰まり、声が震える。

「寧々……もうやめよう? お願い。あなた自身のために……水紀のことに、これ以上時間を捨てないで……」

「どうして、私が?」

萩原寧々は感情を爆発させ、声が跳ね上がった。

「私をこんなふうにしたのはあの女でしょ! なのに、どうして私が諦めなきゃいけないの!?」

寧々の瞳がいっそう赤く濁り、上村...

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