第103章

会場の空気が、ほんの一瞬だけ凍りついた。

赤い布がゆっくりと引き上げられ、その下の展示台が姿を現す。

デザイン画が一枚。ペンダントトップが一つ。

デザイン画の線は複雑で、華やかだった。蝶の意匠。翅には細かなダイヤが散りばめられ、一本一本の線が執拗なほど精密に描き込まれている。

翅のカーブ。石の並べ方。光と影の段差。

目を逸らすことを許さない、美しさ。

――だが。

その横に添えられた数本の線だけが、明らかに異質だった。硬い。ぎこちない。構図が窮屈で、あの翅の流麗さと、露骨なまでの対比を成している。

客席から、ざわりと囁きが広がった。

「翅のデザイン、すごい……こんな処理、見た...

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