第107章

黒田美沙子がばっと立ち上がった。顔は真っ赤、声は甲高く尖っている。

「黒田理沙! 家の中に防犯カメラを仕掛けてたって、どういうこと!? 人としてどうなの! あそこは私たちの家よ! あんたに何の権利が――」

黒田理沙は壇上に立ったまま、彼女を見下ろす。眼差しは凪いだように静かだった。

「最初に防犯カメラを入れたのは、あなたの病状をいつでも確認するため。離れていても体調の変化を見られるようにしたかった。あのとき、数十万かけて家中に最新のシステムを入れたの。死角がないよう、隅々まで」

ひと呼吸置き、口元がかすかに持ち上がる。けれど、そこに温度はない。

「まさか、一番最初に役に立つのが――...

ログインして続きを読む