第119章

中村慶太の涙は、もうすっかり枯れていた。

床に膝をついたまま、顔に浮かぶ色はすがるような表情から絶望へと変わっている。口の中では何かをぶつぶつと繰り返していた。

青山彩はくるりと背を向け、青山博文の腕にそっと手を添える。そのまま一度も振り返らず、外へ向かって歩き出した。

青山博文は終始ひと言も発しなかった。だが、その顔色はひどく険しい。

扉のところまで来たところで、ふっと足が止まる。わずかに顔を傾け、中村慶太を見た。

ほんの一瞥。たった一秒にも満たない、短い視線。

それでも、その目に宿っていたものを見た瞬間、中村慶太は中身を根こそぎ抜かれたように、その場へ崩れ落ちた。

背後で扉...

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