第16章

一年と少し前まで、ここはただの荒れ地だった。

彼女が叩き込んだ金と、注ぎ込んだ手間は――京清市で家が何軒も買えるほどだ。

それでも彼女がそうしたのは、ただ一人のため。

病室に、また静けさが戻る。

黒田理沙はベッド脇に腰を下ろし、もう一度おばあちゃんの手を包み込んだ。

「中村先生が、状態は安定してるって。数日したら、また再生丹を持ってくるから。今はゆっくり休んで」

少し間を置き、口元だけやわらかく弧を描く。

「目が覚めたら、青山家を案内するね。広い家だよ。きっと気に入る」

窓の外では夕日が西の山へ沈み、橙の光が部屋いっぱいに広がっていた。

老人は穏やかな顔のまま、静かに横たわ...

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