第223章

江原守平が脇の店員に目配せした、そのときだった。黒田理沙はふいに足を止め、入口で立ち尽くす。

一度、振り返る。

展示台の灯りは相変わらず柔らかい。翡翠のペンダントが、やわらかな布の上に静かに横たわっている。玉はしっとりと艶を含み、色味は淡い。淡い光をそっと閉じ込めたように、静かに艶めいていた。

「……やっぱり、いい」

理沙は踵を返す。

「そのまま包んで。持って帰るわ」

江原守平がわずかに目を見開く。

「先ほどは、お届けすると――」

「あとで上山に見せたいの。二度手間は嫌」

黒田理沙は視線を落とし、急かすように言った。

「早く包んで」

「かしこまりました」

店員がすっと...

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