第231章

黒田美沙子がまだ何か言いかけた、そのとき――隣で、どすん……と鈍い破砕音が響いた。

彼女は弾かれたように振り向く。

個室の隅、飾り棚の前に、七、八歳ほどの少年が立ち尽くしていた。手には割れた陶片の一部。足元には、きらきらと光る破片が散乱している。

江戸時代の染付壺が一つ。胴が七、八片に砕け、無残に転がっていた。

個室の空気が、すうっと抜け落ちた。

黒田美沙子の膝が笑いはじめる。床の破片を見た瞬間、瞳孔がぎゅっと縮んだ。

黒田守也が立ち上がった。顔色は鉄のように青い。

早足で駆け寄り、破片を一瞥した途端――顔から血の気が引き、灰色に変わった。

少年はまだ呆然としている。瓶の縁の...

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