第236章

黒田美沙子は眼球が飛び出しそうなほど目を見開き、脳内が一瞬で真っ白になった。

「……あ、あなた……いま、何て言ったの?! 黒田理沙?!」

声が裏返る。

「京清市でいちばん名の通った、金を積んでも入れない、上の連中が血眼で席を奪い合うこの療養所……その社長が黒田理沙ですって?!」

「ありえない! 絶対にありえない!」

黒田守也が半狂乱になり、鉄門にしがみついたまま喚き散らす。

「田舎から出てきたただの田舎者だぞ! どこにそんな金がある?! おまえら、何か勘違いしてるんじゃないのか!」

「無礼だ!」

川村院長の顔色が、すとんと底冷えするほど沈んだ。

「当療養所の社長がどれほど尊...

ログインして続きを読む