第49章

黒田理沙は電話を切ると、書類を閉じて席を立ち、そのまま外へ出た。

秘書にいくつか指示を飛ばし、階下でタクシーを拾って、療養所へ直行する。

四十分後。理沙は療養所のオフィスのドアを押し開けた。

山本先生はすでに中で待っていた。デスクの上には分厚い資料の束。脇には、ダークスーツを着た若い男が一人、直立している。

安村英二。理沙のサイバーセキュリティ顧問だ。前回のランサムウェア案件も、彼が処理した。

安村は理沙の入室を確認すると軽く会釈し、机上の資料をすっと押し出した。

「ボス。掴めました。空港で出たあのブツの元を辿ると、背後に完成した密輸ルートがある。で、国内側の末端ノードが――」

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