第78章

母親の唇がわなわなと震える。

「あなたたち……うちのもの、何もかも持っていったじゃない……会社も、家も、お金も……何ひとつ残してくれなかった……。もう、この古い家しかないのよ……お願い……私たち母娘に、生きる道を残して……お願い……」

「生きる道?」

川村野々花はすっと身を起こし、鼻で笑った。

「あんたたちに、そんなもん必要? そこの娘もさ、外じゃそれっぽく取り繕ってるくせに、家に帰ればあんたと同じ。隅っこで縮こまって、ひと言も言い返せない臆病者じゃない。いいこと教えてあげる。その家なら、もう父に話は通してあるの。来月にはあたし名義になる。さっさと出ていきなさい。でなきゃ、人を呼んで...

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