第5章 カラオケの狂った夜
池田は私の手に引かれ、よろめきながらカラオケボックスを後にした。
外の冷たい空気に当たるまで、彼は我に返らなかった。そして、私の手を振り払った。
「神崎さん……なぜ?」
彼の声は震え、その瞳には信じられないという色が浮かんでいた。
「どうして、俺なんかを?」
ネオンの光に照らされてどこか青白い彼の顔を見ていると、胸が締め付けられるように痛んだ。
この馬鹿は、今になってもまだ自分が愛される価値があるなんて信じていないのだ。
「好きだからよ」
私は当然のように答えた。
「理由なんて必要?」
池田は目を大きく見開き、私の言葉に急所を突かれたかのように狼狽えた。
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チャプター
1. 第1章 OLのキャンパス体験を越える
2. 第2章 日記の中の秘密の恋慕
3. 第3章 美術部の艶めかしいモデル
4. 第4章 田舎のいとこの挑発

5. 第5章 カラオケの狂った夜

6. 第6章 命の恩人の真相が明らかになる

7. 第7章 家族の大戦とビッチの正体

8. 第8章 お嬢様の強制健康診断

9. 第9章 反抗期の感情危機

10. 第10章 京都修学旅行の完璧な告白


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