第212章 彼女を捕まえる

中林真由は地面に座り込み、ただひたすらに寒さを感じていた。

彼女は再び立ち上がり、強張った体を小さく動かしてほぐす。

突如、耳元で風が唸り声を上げた。中林真由の心臓が早鐘を打つ。

その風音は、まるで女の啜り泣きのようであり、あるいは飢えた狼の遠吠えのようにも聞こえた。

彼女は震える足で立ち上がり、頭上の木を見上げた。

木はそれほど高くなく、何とか登れそうだった。

猛獣なら、木登りはできないはずだ……たぶん。

そう自分に言い聞かせ、彼女は行動に移った。

幸い、今日は工事現場に行く予定だったため、足元はスニーカーだ。彼女はどうにか一メートルほどの高さまでよじ登った。

だが、たっ...

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